糖尿病などほかの病気と歯科治療

歯科治療は全身疾患との関連性を踏まえて
行うことが大切です

歯も身体の一部です。そのため歯科治療は全身疾患との関連性を踏まえて行うことが必要です。当院では治療にあたっての初診時の問診などで全身疾患に関してもご質問し、その内容を把握するようにしています。こちらではそれぞれの全身疾患と歯科治療の関係についてお話しします。

全身疾患と歯科治療の関連性

当院では、持病をお持ちの方に歯科治療をお受けいただく際には、事前に申告をお願いしています。高血圧や糖尿病、骨粗しょう症などの全身疾患をおもちの方が治療を受ける場合(特に外科処置などは注意が必要)は次のような危険性がともないますので必ず自己申告してください。


全身疾患が治療を行うときのリスク
  • 糖尿病→糖尿低血糖昏睡(意識を失う)が起こる可能性があります
  • 高血圧→血が止まらなくなったり、血管が破裂して脳内出血を起こすことがあります
  • 骨粗しょう症→薬の組み合わせによって副作用が起こるケースがあります
    ※これらの持病をお持ちの方は、お薬手帳をお持ちいただき、現在通院中の病院の連絡先をお伝えください

高血圧

高血圧症のWHOの分類は、血管収縮期の血圧が140mmHg以上で、拡張血圧が90mmHg以上の場合を指します。その原因のほとんどはよくわかっていませんが、慢性の場合は虚血性心疾患、脳血管障害、腎障害などの動脈硬化による多臓器病変が生じているケースが多いようです。

歯科治療においての注意点

高血圧症の方は降圧剤を服用し、血圧を正常範囲にコントロールしている場合がありますので、高血圧薬との相互作用に注意を払いながら歯科治療を行う必要があります。降圧剤を服用中の場合は、歯科治療は午前中が望ましく、治療開始前に血圧測定を行うとともに、その日の降圧剤服用をしたか否かの確認を行うことが大切です。当院では高血圧の方の場合は生体モニターを用いて血圧の管理をしながら治療にあたっています。

高血圧症の方の歯科治療においての注意点
  • なるべく午前中に治療を行いましょう
  • その日の降圧剤の服用の有無を確認することが大切です
  • 治療前に血圧を測定しましょう
  • 心臓への負担軽減のためには水平位より座位の治療姿勢が優先です
  • 治療中や治療後の体勢の急激な変化に留意しましょう
  • 急性炎症がある場合、痛みにより血圧が上昇するので鎮痛剤などを処方しましょう

心筋梗塞

心臓の筋肉(心筋)に栄養を供給している冠動脈系に狭窄や閉塞が生じ心筋への血行障害を起こしている状態を虚血性心疾患といいます。そして心筋細胞に壊死がみられるのが心筋梗塞です。心筋細胞に壊死がみられない場合は狭心症といいます。

歯科治療においての注意点

狭心症や心筋梗塞の患者さまは抗凝固薬が使用されていることがあります。そのため抜歯などの出血を伴う外科処置を行う場合は、服用中の薬剤の量の変更などを主治医と相談する必要があります。止血が必要となる場合のための工夫も必要です。

心筋梗塞の方の歯科治療においての注意点
  • 心筋梗塞発症後3ヶ月以内は、歯科診療は控えましょう
  • 心筋梗塞発症後6ヶ月以内は出血を伴う外科処置は控え、対処療法を行いましょう

糖尿病

糖尿病とは、血糖を抑制する作用のあるインスリンの分泌量やタイミングの不具合により引き起こされる代謝異常のことで、高血糖値(300mg/dl以上)が持続し、動脈硬化などを起こすことがある病気です。

歯科治療においての注意点

糖尿病の方は、感染症にかかりやすく、傷が治りにくく、ストレスにより血糖値が変化しやすいという特徴があります。治療などによる小さな刺激でも高血糖や低血糖状態に陥り昏睡状態になってしまう可能性があるので注意が必要です。局所麻酔を用いる場合は、血糖値を上昇させる作用のある薬の使用は避けましょう。抜歯などの外科処置を行う場合は、主治医との連携を密にして、抗菌薬を計画的に投与するなどの処置が必要です。

糖尿病患者の方の歯科治療においての注意点
  • 食事直前の治療は避け、食事摂取の時間と糖尿病治療薬の服用を確認してから治療に進みましょう
  • 使用する局所麻酔は血糖値を上昇させにくい薬剤にしましょう
  • 感染症の発症を避けるため、歯科治療の前に主治医と連携し抗菌薬などの投薬を計画的に行いましょう

骨粗しょう症

骨粗しょう症とは、骨密度が低下する症状で、とくに閉経後の日本人女性に多くみられます。手首や股関節などの骨折の原因となります。

歯科治療においての注意点

骨粗しょう症の方の場合は、医師よりビスフォースフォネート剤(BP剤)を処方されていることがありますが、このBP剤を服用している場合は歯科治療により顎骨壊死という副作用がでることがあると報告されています。BP剤の服用中の歯科治療は避けましょう。ただそのほかの薬剤(副甲状腺ホルモン皮下注射薬、ビタミンD製剤、ビタミンK製剤、エルシトニン薬、カルシウム剤、女性ホルモン剤など)を服用している場合は、問題ありません。

骨粗しょう症の方の歯科治療においての注意点
  • 抜歯などの歯科治療を行うことはお勧めできません
  • 薬を服用中の場合は主治医と歯科医師に必ず相談しましょう